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八丈島のアトリエ
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所在地:東京都八丈島八丈町樫立
建築主:團伊玖磨
主要用途:アトリエ
建築面積:160㎡
竣工:1994年
この建物は作曲家のための仕事場で、八丈島南西部の海を望む台地の上に建てられた。
敷地は、海の方向に向かってなだらかに下っており、八丈三原山からこの場所の約1km先の断崖まで続く山裾の、一大傾斜面の一角である。
建築物は円弧の一部を切り取ったような形状をしており、その弦の方向はこの付近で「クロスノウ」と呼ばれている特徴的な地形をした西の黒砂山の方向に向けられている。一方、円弧状の内部は南側に開いて道路側の壁面との間に場をつくり出しており、西側からの強力な夕日と海風を避けている。八丈島は高温多湿で、台風や地震のほかにシロアリも発生しており、建築物にとってのさまざまな悪条件をその気候風土が備えている。台風時の集中豪雨の際には建築物は大時化の中を疾走する漁船のような状況になり、ときには前述のクロスノウから強風によってこぶし大の火山岩が飛ばされてくることもある。
この計画では、あらかじめ建物本体を西の風上方向に向けて風を切るような形状を与えて風雨に備えると同時に、建物周辺を開放的にして明るさと風通しの良さを確保している。テラス部分は雑草の猛威を防ぐために島で産出する岩を貼ることにした。建物の上部は船の甲板のように開放してクロスノウの方向に向けながら、敷地の先端部に設定したステージと併せて全体がひとつの野外劇場となるように構成されている。
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